「Multi」にスポット冷風タイプ
水冷式身体冷却システム「COOLEX」
工場全体冷却へ、地下水で省エネも
鎌倉製作所(本社・東京都港区)は「HVAC&R JAPAN2024」に出展し、チラーで生成した冷水をウェア内に循環させる身体冷却システム「COOLEX」(クーレックス)から新たな提案を行う。これまで同社は、大型チラーからの冷水で複数名を冷却する配管設備モデル「COOLEX―Multi(マルチ)」を展開してきたが、ウェアにホースが繋がっていることが『作業性が落ちる』『煩わしい』といった声もあった。そこで今回、冷水コイル内蔵のファンユニットで『空気を冷やす』タイプもラインアップする。チラーからの冷水と空気を冷水コイルで熱交換し、スポット的に冷風を供給するもので、「COOLEX―Multi Airタイプ」として、今期から展開開始を予定。ファンユニットはまずは小型を想定するが、先々は大型化を狙う。従来型の「Wearタイプ」とも併用し、工場全体の冷却に拡大していきたい考え。そしてここに未利用エネルギーの地下水利用も不組み合わせ、省エネ冷却システムとして訴求していく狙い。
これまでCOOLEX―MultiのWearタイプは、防爆エリア、塗装ブース、溶接エリアなど、一般的な空調では対処が難しい特殊な酷暑現場で、複数人が一ヵ所で作業に従事する場所における熱中症対策として展開してきた。今回のAirタイプは一般の作業エリアでも使用できるタイプ。一般エリアと酷暑エリアの冷却を水配管で繋ぎ、「一つのシステムで、『色々な作業現場で使える』ということを訴求していきたい」。もちろん前述の特殊な酷暑環境でも、冷風に問題がなければ、Airタイプはより可動範囲の広い冷却方式として使用できる。
また、同社は今後、Multiの両タイプで地下水活用を進めていきたい考えであり、水質や温度にもよるが、地下水を直接通水する形も想定する。同社は以前より、冷水コイルで空気と地下水を熱交換して冷風を送るシステムとして、屋外設置でダクト配管から大風量の冷風を供給する「グランドウォーターファン」、小型でエリア冷却向けの「ユニットクーラー」を展開してきた。これらとMulti両タイプとの組み合わせも視野に入れ、工場全体の冷却システムに拡大していきたい考え。こうした中では、例えば地下水が温かい場合は、チラーを水冷式とし、地下水を熱源とすることで省エネを図るなど、様々なケースに対応していきたい考え。
同社は今回のHVAC&Rで、Airタイプのサンプルを展示して来場者の反応を見ると共に、地下水利用の状況をヒアリングすることも狙いの一つとしている。