鎌倉製作所 水冷式クールウエアが進化
携行タイプや超酷暑55℃対応も熱中症対策として電動ファン(EF)付きウエアの不朽が進む中、空冷では対処できない酷暑環境下で校歌を発揮する水冷式の身体冷却システム「クーレックス」が注目されている。開発した産業用換気装置メーカーの鎌倉製作所(東京都港区)では、標準型の拡販に加え、今夏、顧客要望に応え新製品も投入した。
2017年1月、テストマーケティングを兼ねて初めて発売したのが標準型の「クーレックス・ワン」。屋上ファンや大型送風機、気化式涼風機など工場内の作業環境づくりの提案過程で、熱中症対策の相談を受けたことが開発のきっかけになった。クーレックスは、ミニチラー(冷却水循環装置)で7~20℃に調整した冷却水を接続ホースからウエアの裏地に張り巡らせたチューブに循環させ冷却する。作業半径はホース長の4~8メートル。ウエアは袖なし脇冷却タイプと火気を扱う現場向けの難燃素材タイプの2種。体への冷却効果は産業医科大学との共同開発で実証済み。
「鉄鋼や自動車の溶接現場など特定熱源周囲の気温が40~50℃に達するような環境で作業する工場などに熱中症対策として提案している」と話すクーレックス販売部販売一課の木野良太課長。
熱源近くの作業者だけをピンポイントで冷やせるため、工場全体を冷却させるより導入時の負担やランニングコスト面でメリットがある。EFウエアとの差別化は、作業周囲の温度や空気の流れを出せないような塗装吹き付け作業など、現場環境の違いで棲み分けができていると言う。
販路拡大に当たっては「新しいシステムなのでまずは体験してもらうため積極的にデモンストレーション展開をしている。あとは作業内容やコスト面などで導入メリットが高ければ販売につながる。昨年はチラーで約100台販売した」と木野課長は説明する。参考価格は、ウエア、ミニチラー、ホース、ACアダプターで70万円、作業周囲温度30~40℃に対応する汎用タイプの「クーレックス・ライト」は45万円。1台のチラーで最大10人まで使用できる「クーレックス・マルチ」は導入環境により価格は異なる。
今夏、顧客から要望を受け改良した製品2種を販売。携行できるリュックタイプの「クーレックス・モバイル」82万円と、防じん・防水機能、気温55℃の超酷暑環境にも対応する「クーレックス・プロ」90万円の2種。