実験方法

実験場所
産業医科大学 人工気候室
前室=気温25℃ 相対湿度50%
実験室=気温40℃ 相対湿度50% ⇒ WBGT値 : 35
※WBGTとは熱中症を予防することを目的とした指標。
人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、人体の熱収支に与える影響の大きい湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標です。
(参考:環境省 熱中症予防情報サイト
対象
健全な20代男性 6名
実験条件
被験者毎にVO2MAX値を測定し、
その40%負荷で自転車エルゴメータにて運動。
同条件下において各項目を測定。
・COOLEX着用 / 夏用長袖作業服+COOLEX(水温設定10℃)
・COOLEX未着用 / 夏用長袖作業服のみ
※VO2MAX値:最大酸素摂取量
※運動負荷:Mets5.25相当※5(被験者平均)
測定項目
直腸温(熱電対)※1
食道温(熱電対)※2
心拍数(BSM-2401、日本光電工業)※3
推定発汗量(実験前後の体重変化量)※4
プロトコール

実験結果

直腸温※1

考察
未着用と比較しCOOLEX着用時は有意に直腸温が低下していた。
運動後半に冷却効果が強く認められた。
腹部臓器を直接冷却することにより直腸温を低下させたと考えた。
運動中(40分間)及び運動終了10分経過後ではCOOLEX着用時は38℃を越えなかった。
食道温※2
考察
未着用と比較しCOOLEX着用時は有意に食道温が低下していた。
COOLEX着用直後は一時的に上昇したが、冷却効果に対し人体が保温しようと産熱傾向になったと推測される。
運動後半に冷却効果が強く認められた。
運動中、COOLEX着用時は38℃を越えなかった。
運動終了後は未着用時と比べCOOLEX着用時の方が温度低下が大きかった。
心拍数※3

考察
未着用と比較しCOOLEX着用時は運動前半から有意に心拍数が低下していた。
運動終了後は120以下まで低下した。
推定発汗量※4
考察
未着用と比較しCOOLEX着用時は有意に低下していた。

冷却効果

酷暑環境(WBGT値:35)でも直腸温・食道温で有意な低下が認められた。
冷却水が血液循環を介した全身の体温低下に効果的であったと考察され、COOLEX着用することで熱中症対策として有効であった。
WBGTを考慮し作業時間の調整を行っている作業場でもCOOLEX導入により連続作業が可能となり、作業効率の改善にもつながります。

解説

(産業医科大学産業保健管理学研究室監修2018年)

※1
・直腸温で表されるもの
 体温調節機能に関係する温熱ストレインの程度を示す指標として直腸温が最もよいと報告されている。
参考文献)
・Report of a WHO Scientific Group : Health factors involved in working under conditions of heat stress,WHO , Tech. Rep. No. 412, Geneva, 1969
・産業医学JAPANESE JOURNAL OF INDUSTRIAL HEALTH 25巻
・直腸温の限界
 暑熱環境での作業に慣れていない人(暑熱未順化者):38.0℃
 暑熱環境での作業に慣れている人(暑熱順化者):38.5℃
参考文献)
 米国産業衛生専門家会議(ACGIH)でのTLV(許容限界値)より
※2
・食道温で表せるもの
 直腸温よりも温度変化を鋭敏に反映するため、核心温の中で温度変化を鋭敏に示す指標。
※3
・心拍数の限界
 1分間の心拍数が「180−(年齢)」を数分間継続しているケース
 作業強度がピークに達した後1分間経過後に120以下に戻らないケース
参考文献)
 ACGIH (2012) Heat Stress and Strain TLV@ACGIH: American Conference of Governmental Industrial Hygienists. Cincinnati
※4
・発汗量の限界
 暑熱未順化者は毎時1リットル、暑熱順化作業者は毎時1.25リットルを限界発汗率とし、脱水状態を予防するために5%の体重減少を限界値としています。
参考文献)
 ISO8996 ISO 9886 (2004) Ergonomics of the thermal environment:Evaluation of thermal strain by physiological measurements. Geneva
※5
・Mets(metabolic equivalents)
 身体活動度を表す一般的な指標で、厚生労働省出典の健康づくりのための運動指針でも使用されている。
 定義は、運動時のエネルギー消費量/安静時のエネルギー消費量Mets5.25は、中等度の作業に相当する。