はじめに
このコラムでは熱中症に関するテーマを中心に連載していきます。
今回は熱中症・暑さ対策の基礎知識として、熱中症にならないようにするにはどうすべきかを見ていきましょう。
熱中症を予防するためには、どのようなことに注意すべき?①
熱中症を予防するためには、単に熱中症が何であるかを理解するだけでは不十分です。
熱中症の要因が何であるかを把握し、また、その要因が身体にとってどのような影響をもたらすかを理解することで、適切に予防対策を撮ることができます。
熱中症の要因となるものを一般に暑熱ストレスといい、そのストレスに対する反応を暑熱ストレインと言います。
そこで、暑熱ストレスの把握と評価を行い、暑熱ストレインの軽減について対策を立てることが熱中症予防の基本と言えます。
一口に熱中症の要因といっても、外気温や、服装など、人が熱中症になる原因は様々です。
一般に、①環境要因、②身体活動(作業)要因、③衣服要因、④時間要因、⑤個人要因に分類されています。
またその暑熱ストレスを受ける反応についても、生理的な反応と、心理的な反応があります。これらを定義付け、測定可能な指標にするなどして、熱中症予防に役立てていくことが熱中症予防の第一歩となります。
熱中症を予防するためには、どのようなことに注意すべき?②
これまで熱中症について、その原因、症状、起こり得るケース、熱中症に対する評価方法、対処方法について、見てきました。
熱中症は、周囲の環境や、その人のコンディションにより、屋内、屋外にかかわらず、また誰もがかかり得る病気です。
熱中症の原因は、体内に蓄積している熱をうまく放出できずに体温が上昇することで、身体のコントロール(ホメオスタシス)が機能不全となることで発症します。
それでは、どのように予防したらよいでしょうか?大事なことは、
①体に負担の無い温熱条件の環境にいる
②日頃の体調を整えておく
③睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
④栄養バランスの良い食事をとる
⑤適度な運動を習慣化し、また運動や肉体労働の後には休養をしっかりとる
ということを実践しながら生活していくことですが、実際には、普段の生活や仕事のなかで、実現することが難しいという人が多いと思います。
熱中症にならないようにするために
熱中症にならないようにするにはどうしたらよいか、ということについて言葉で説明するのは一見簡単に思えますが、実際に予防するとなると決して簡単ではありません。
これまで見てきたように、熱中症は様々な要因が関係して発症します。
①体に負担の無い温熱条件の環境にいる
②日頃の体調を整えておく
③睡眠をしっかりとり、生活リズムを整える
④栄養バランスの良い食事をとる
⑤適度な運動を習慣化し、また運動や肉体労働の後には休養をしっかりとる
予防するためのポイントとして挙げたこの5点は、実際に社会生活を営む私たちにとってなかなかしっかりと実行することが難しいのです。
まずはこのうち1つでも意識して生活に取り入れてみることからはじめてみるのはいかがでしょう?
日頃から健康管理に気を付け、意識的に身体のバランス、生活バランスを整え、仕事中においては、自身の作業負荷、体調をしっかり管理し、また雇用者は、従業員の仕事中の健康を常にモニタリングして異常をいち早く察知できるようにする、これらのことは決して簡単なことではありません。
それでも時に命にかかわる重篤な症状をもたらす熱中症は、脳出血やがんにくらべ、予防しやすいことを考えるならば、やはりしっかり身体を守る努力をすべきです。