はじめに
熱中症・暑さ対策の冷却ウェアは色々な種類があります。熱中症・暑さ対策は暑熱状況・作業条件・作業者の条件を把握する必要があり、 そのうえで最適な冷却ウェアを選択することが重要です。冷却方法も様々で各ウェアの特長を紹介します。
ファン付作業服
小型ファンが内蔵された作業服です。ファンで服の中に外気を取り入れ、汗を蒸発させて身体を冷やします。 外気温を冷やすのではなく汗の気化を促進させて体温と体感温度を下げるしくみとなっており、建設現場や工場内作業でも広く使われています。
【メリット】
・安価で導入しやすい
・バッテリー駆動で移動・作業しながら使用できる
【デメリット(適していない現場)】
・体温を超える温度環境では逆効果(熱風が入ってくる)
・粉塵が多い現場、火を扱う作業には不向き(助燃性がある)
・作業服が膨らむ
保冷材付きウェア
「保冷材を入れられるポケット」が付いたウェアです。ウェア前面や背中上部にあるポケットに冷凍庫で凍らせた保冷材を入れて着用します。炎天下や室内温度が高い現場に適しており、「アイスベスト」「クールベスト」「冷却ベスト」などと呼ばれています。
【メリット】
・安価で導入しやすい
・保冷材で直接身体を冷やす
【デメリット(適していない現場)】
・保冷材が数十分~1時間程度しか持たない
・直接身につけると低温火傷の恐れがある
・冷凍庫を用意する必要がある
氷水式ウェア
チューブを張り巡らせたウェアに氷水を循環させ身体を冷やす冷却ウェアです。リュックや専用ボトル内に水と氷を入れてウェア内を循環させます。 外気温に左右されず冷却するため外気を取り込めない高温の場所や粉塵多い現場でも使用可能です。
【メリット】
・氷水で直接身体を冷やす
・幅広い温度帯で使用できる
【デメリット(適していない現場)】
・氷水が数十分~1時間程度しか持たない
・冷凍庫を用意する必要がある
・水と氷を使用しておりウェアが重い
コンプレッサー式冷却ウェア
コンプレッサーの風(圧縮空気)を専用ウェアや体に巻き付けたチューブの穴から冷風がでて身体を冷やす冷却ウェアです。冷媒を使用せずにコンプレッサーエアーの回転のみで冷風と温風を分離し冷却します。周囲温度が高い現場や粉塵が多い作業場でも使用可能です。
【メリット】
・高温環境や粉塵が多い現場でも使用できる
・コンプレッサーのエア配管をしている現場は導入しやすい
【デメリット(適していない現場)】
・ホースがつながっているため作業範囲が限られる
・コンプレッサーの容量が足りなくなる可能性がある
・火を扱う作業には不向き(助燃性がある)
・作業服が膨らむ
チラー式冷却ウェア
チラー(冷水器)で冷やした水をチューブを張り巡らせた専用ウェアに循環させ身体を冷やす冷却ウェアです。水温設定ができ一定の水温を維持するので冷却効果が持続します。助燃性のある空冷方式が使用できない火を扱う作業現場でも使用可能です。チラーは高温環境でも十分に冷やせる能力があり、防塵タイプもラインアップ。今まで対策を諦めていた酷暑現場でも確かな冷却効果を実感することができます。
【メリット】
・高温環境でも作業者をシッカリと冷却できる
・風を起こせない現場(火をつかう・塗装ブーズなど)や、粉塵が多い現場で使用できる
・作業環境や作業者の好みにあわせて水温調整ができる
【デメリット(適していない現場)】
・ホースがつながっているため作業範囲が限られる