鎌倉製作所は「FOOMA JAPAN2021」に約15年ぶりに出展し、近年注目度が高まっている作業現場の暑熱対策として、冷水循環式の身体冷却システム「COOLEX(クーレックス)」から複数人の冷却が可能な「COOLEX―Multi(マルチ)」をパネルで紹介する。また野菜や生花の鮮度を維持できる冷蔵庫用加湿機「グリーンキーパー」の実機を展示する。
COOLEXはチラーで生成した冷水を専用ウェア内に流し、作業者の身体を強制的に冷却するもの。一般的な空調は対流により空間を冷却するため、熱源がある作業場では大きなエネルギーが必要になるが、同製品は作業者の身体を直接冷却するため熱源の影響を受けない。また食品工場では、作業者は衛生服を着用するため対流式空調では風を感じにくいが、同製品は衛生服の下に着用するため確実に冷却効果が期待できる。加えて加熱工程の区画では、加熱箇所は冷やさずに作業者のみを冷やしたいというニーズもあり、同製品はそれに対応できる。
今回主に訴求するMultiは、シリーズで最大サイズのチラーを用いる。屋外にチラーを設置し、作業レイアウトに合わせて配管を設計する。1台で最大10名を冷却でき、配管長は70㍍まで対応できる。更に人数を増やしたり、配管長を長くしたりする場合は既存のチラーと組み合わせて対応できる。同社は今後、工事も含めて手掛けていきたい考えだ。
ブースではこのほか一人用機種で、作業周囲温度25〜50度Cの「COOLEX-1(ワン)」と同25~55度Cの「COOLEX-Pro(プロ)」の冷却効果を体感できるスペースを設ける。また今年発売した新製品「COOLEX-V151(フォークリフト用クーラー)」もパネルで紹介する。同製品は既に食品工場から引き合いがあり、需要が期待できるという。
一方のグリーンキーパーは、冷蔵庫内に設置することで庫内の野菜や生花の鮮度を維持できる加湿機。2016年の発売以来、スーパーの冷蔵庫や青果・花卉市場等で徐々に導入が進んでいる。ラインアップは5坪の小空間向け小型機と、15坪の大空間向け大型機「AQUA(アクア)」。
野菜や生花の鮮度を維持するには①低温管理②大量加湿③エチレン除去が重要となる。②については従来、冷蔵庫内の加湿機には超音波式が使用されることが多かったが、これは空気中に水分を噴霧するため過加湿となり、結露の発生が問題となっていた。そこで同製品は加湿エレメントを水に浸らせ、そこに風を通して気化させる気化式を採用(気化式冷風機と同様の構造)。90㌫以上の吹き出し湿度を実現できると共に、原理的に湿度が100㌫を超えないため結露は生じない。また③については、植物が出すホルモンであるエチレンは、野菜や生花の成長を早めて劣化させてしまう。そのため同製品はエチレン分解フィルタ(ニッケルパラジウムを塗布した活性炭フィルタ)を搭載し、エチレンを除去した空気を吹き出している。このように同製品は②と③の二重の意味で鮮度が長持ちするため、食品ロス減少や出荷調整等にも活用できる。
同社は今後、同製品を食品工場にも広げていきたい考えだ。今回の展示会でも、同製品は結露を生じさせずに鮮度を維持できることを知ってもらいたい考えだ。