2022.7.20掲載 空調タイムス ―身体冷却システムCOOLEXにデモ申込殺到

2022.07.21 メディア

酷暑作業現場の熱中症防ぐ身体冷却システムCOOLEXにデモ申込殺到

「東京猛暑対策展」でマルチとフォークリフト用を紹介 使い勝手高める改良も着々と

屋上換気扇で国内トップシェアを誇る鎌倉製作所(社長=堀江威史氏、本社・東京都港区北青山2-7-11)は近年、鉄鋼工場や食品工場、溶接・溶断作業や塗装ブースといった、一般的な空調では対処が難しい酷暑作業現場の熱中症対策として、身体冷却システム「COOLEX(クーレックス)」の展開に注力している。専用チラーで生成した冷水をウェアやシート内に循環させるもので、冷水は7〜20度まで調節可能、40度以上の高温環境でも確実に冷却効果を得られる。同社は「第8回東京猛暑対策展」に出展し、複数名を冷却する配管設備モデル「COOLEX-Multi(マルチ)」を紹介するほか、昨年発売した座席シートを冷やすタイプのフォークリフト用クーラー「COOLEX-V151」も展示する。ウェアタイプや座席シートタイプの冷却効果を体感できるコーナーも設ける。6月に同社が出展した展示会ではCOOLEXに大きな反響が寄せられており、同社は猛暑対策展にも期待を掛けている。
展示するCOOLEX-Multiは、『空調にかわる新しい冷却ソリューション』として訴求を強めているもので、1台の大型チラーで複数名を冷却するモデル。チラー1台に付き使用人数は1~10名で、作業範囲は50~70㍍。上部の配管から接続ホースを吊り下げる基本設計だが、作業環境にあわせてカスタマイズでき、同社による設計・施工が可能。例えば現在設計中の案件では、ホースをカーテンレールに吊ることで可動性を持たせるなどの工夫もしている。また展示品のフォークリフト用クーラーは、今年5月に防塵タイプも発売した。営業を進める中、鉄鋼関連からの引き合いが多く、また屋外の砂埃等が発生する現場でも使用したいという要望も上がったため、そうした声に応えて製品化したもの。
同社ではCOOLEX導入前にその冷却効果やホース取り回しを確認いただくためにデモ機によるトライアル(同社は「デモ」と呼称)を推奨しており、その申込数はその後の販売数を占う重要な数値。同社は6月、「サーモテック2022」、「FOOMA JAPAN2022」、「第3回関西物流展」の三つの展示会に出展したが、同社はそこで展示会来場特典として一週間無料デモを案内したところ、その場での申込も数多く、デモ機は今もフル稼働状態が続いているという。一週間無料デモは昨年も実施したものだが、展示会への来場者数がコロナ禍以前の水準に回復しつつあることも手伝って、今年は昨年の3倍弱の申込数となり、既に昨年1年間のデモの申込数を超えているという。同社COOLEX事業部COOLEX販売部販売一課の木野良太課長は、来場者の様子は昨年と明らかに異なり、「(熱中症対策製品を)積極的に探されていて、試していきたいという意向を強く感じた」と振り返る。営業サイドとしても、一昨年、昨年とコロナ禍により現場に出向くことができなかったが、今年は引き合いも多く、現場に出向くこともできており、手応えを感じているという。製品の性格上、予算を組んでから導入するところが多く、足が長い傾向があり、「来年以降の設備投資に期待したい」と木野課長は話す。
一方で同社は着々と製品の改良も進めている。例えば、COOLEXの展開においてはホースの取り回しがポイントとなるため、今年は主力製品を中心にホースの径を細くして軽量化し、取り回しを改善した。またオプションとして、同じ方向にホースが何度回転しても捻れることなく、回転しながら水が流れる「回転継手」も製品化した。今後も同社は要望に応えて使い勝手の改善を進めていく。
また製品ラインアップも着々と拡充している。主力モデルは、防塵・防水の超酷暑作業用「COOLEX-Pro」と酷暑作業用小型タイプ「COOLEX-1」だが、今年、低価格モデル「COOLEX-P131」もラインアップに加えた。同モデルは、ユーザーが固定資産とせずに導入できるよう、購入価格で20万円を切ることを目指したもの。早速、ガラス製造業者から11台を受注するなど出足は好調。また昨年より防爆エリアからの配管を想定して20㍍ホースを標準搭載した塗装ブース専用の「COOLEX-P1201」も展開を開始している。

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COOLEXは、空間ではなく作業者の身体をピンポイントで冷却するため、周囲温度の影響を受けにくく、効果的かつ効率的に冷却できる。また風を使用しないため、火花や粉塵が発生する溶接や塗装現場でも安全に使用可能。衛生服や防護服を着用した状態でも確実に冷却効果が期待できる。保冷剤ベスト等と異なり冷却効果に際限がなく、消費電力も小さいためランニングコストも抑えられる。
導入先の6割が鉄鋼工場で、次が食品工場、塗装関係と続く。5年ほど前より市場展開する中で、認知度と共に製品への信頼度も高まりつつあり、横展開も増えているという。例えばある製鉄所の天井クレーン操作室ではエアコンが設置してあるものの頻繁に故障し、しかも故障してもすぐに交換ができない。そこでCOOLEXを導入したところ確かな冷却効果を確認できたため、この客先では他の現場での導入も検討している。
現在、ある客先ではCOOLEXの導入にあたり、厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」を申請している。この補助金は中小企業を対象とし、高年齢労働者のための職場環境改善に必要な経費を補助するもの。対象となる項目の一つ「体温を下げるための機能のある服」でCOOLEXを申請しており、結果が期待されるところだ。

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